瞬膜腺突出(チェリーアイ)
犬や猫には瞬膜というヒダが目頭に存在します。瞬膜は角膜の保護、内側に位置する瞬膜腺からの涙を分泌する働きがあります。涙の分泌量は全体の約30%を占めております。「チェリーアイ」と呼ばれる症状は、瞬膜腺が内側から外側へひっくり返っている状態のことです。
正常 チェリーアイ
→瞬膜腺
左眼がチェリーアイの症例 左眼拡大
(?_?) なぜこのままの状態ではいけないのか?
A.1つは瞬膜腺が外側に突出することで腺が炎症から腫れ、涙が増えたり、結膜炎が起こったり、局所の刺激から不快感があります。もう1つがとても重要で、チェリーアイを整復しないと症例の43%で乾性角結膜炎(ドライアイ)に発展してしまいます。外科的整復を行えば、ドライアイの発症率を14%まで下げることができます。
乾性角結膜炎(ドライアイ)の症例写
乾性角結膜炎(ドライアイ)を発症してしまうと、目やにが増えてきたり、角膜(眼の表面)が黒くなってきたり、目に痛みが出てくることもあります。目やにに関しては、取ってもまたすぐに目やにが付着している、なんてことが多いです。自宅で目やにをキレイに取り除くだけでも、回数が増えるとかなり大変な作業ですので、なるべくそうならないように早めにチェリーアイの治療をしてあげることが重要です。
補足
アメリカンコッカースパニエル、イングリッシュブルドック、ラサアプソでは乾性角結膜炎に発展する確率は、
未整復 75% →→→→ 整復 17%
まで低下させることができます。
そのため、上記犬種では様子をみたりはせず早期に外科的整復をしましょう。
治療法
外科的整復方法はいくつかありますので、詳しく知りたい方は当院までお問い合わせ下さい。
症例写真
術前
術後
この症例で行なった方法は、術後瞬膜腺の腫れが引いてくるまでしばらく充血もあり目立ちますが、2週間位でほぼ腫れや充血はなくなります。
現在、術後1年以上が経過していますが今のところ再発はしておりません。
当院ではチェリーアイを整復した後も、定期的に涙の量を計測されることを推奨しております。
整復後にドライアイを発症してしまった場合は、涙が少しでも多く分泌しているうちに治療を開始したいからです。
現在、チェリーアイでお悩み中の飼い主様がいらっしゃいましたら、当院までご相談頂ければと思います。